2009.08.4
永遠の仔
先週末は、長野びんずる祭り。
市民総和楽、総参加のお祭りである。
時おりの風向によって窓からはお囃子がかすかに聞き取れて、祭りの熱狂を頭の片隅に思い浮かべるが、
私は独り、重くてつらい世界に引きずり込まれていった。
今年何度も行った面接試験。
私は必ず面接者の家族のことについて尋ねることにしている。
(本来は質問してはいけないこととなっているので、答えなくてもよい旨を伝えたのちに質問するが)
なぜならば、その人が今ここにいる、ここまでの歩みに深く影響を与えているのが家族だからである。
その人が今持っている基本的な(本当にベースなる)価値観や人間性は育ってきた環境によって方向づけられるので、会社に入ってから教えられるものではない。
それくらい家族、特に親は人にとって大切なものである。
優希と梁平と笙一郎の物語は、重くてつらい話しだった。
最終章に近づくにつれて、ますます読み進めるのが重くなり、ついには何度となく胸が痛くなり物語の進行を自分の手で止めながら、なんとか最後まで読み終えた。
彼ら3人が親から受けた影響 「傷」 の重みは計り知れない。
私とて、親に愛されて育ったとはいえ、親の何気ない「ひとこと」を今でも覚えていて、それが心の傷として残っていて、梁平と笙一郎の痛みに共感するところがある。
彼らの受けた傷は尋常ではない。
しかも、決してフィクションの世界だけではなく、今日もどこかで起きている日常の出来事である。
物語は終わった。
最後に残ったのは救いようのないつらさか、あるいは繊細でこわれそうな希望か、、、
でも我々は彼らの行く末を見届けることができない。
しかし、必ずやいつの日か、
真の許しを得ることのできる人生をあゆむことができるものと信じている。
家族の大切さ、生きる大切さが心にしみた本だった。
この物語は、私の中に心の「傷」として残るだろうが、
傷もまた時として人を強くする糧になると思う。