2025.04.30
感想文 -舞姫-
我足音に驚かされてかへりみたる面、
余に詩人の筆なければこれを写すべくもあらず。
この青く清らかにて物問いたげに愁を含める目の、
半ば露を宿せる長き睫毛に掩われたるは、何故に一顧したるのみにて、
用心深き我心の底までは徹したるか。
本屋大賞の読みやすさ
直木賞の読み応え
氷壁の時代の味 と読み進めてみて
だんだんと本(文章)としての骨格が、がっしりとしてきている感じがする
で、さらに骨格を追い求めるために森鴎外の「舞姫」に辿り着いた
ここから前は古文になるだろうから、なので近代の幕開けとなる小説と言って
良い。(たぶん)
まあ、読み進めづらい
とにかく学校で習った古文に近いので、なんとなくしか意味がわからない。
(巻末の注釈がありがたい)
しかし、この文章のリズムというか表現というか味というか、、、
実に美しい。
明治の文章では、美しい文章として連合艦隊解散の辞について書いたことがあるが、
それとは、真逆の美しさである。
自分には到底真似ができないが、時間を経てみれば、再びこの文章を鑑賞したく
なるに違いない。
永く残された本(文章)には、残されてきただけの価値があるのだろう。
つづく