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2010.07.13

迷わない道

私は元来方向音痴である。

 

長野市内の道でもたまに反対方向に曲がってしまうこともあり、カーナビは欠かせない今日この頃だ。

 

 

しかし、どんなことがあっても迷わず行ける場所がある。

長野市民病院。 

父の看病をしていたときに8カ月ほど通った道は、裏道を通っていっても曲がる場所にくると体が勝手に反応してしまい、見慣れた病院の駐車場に車を停めた。

 

9年前通ったときと変わったのは、新たに病棟ができたこと、そしてベッドの主が伯父になったということ。

 

幼いころ父を亡くした私の母は、この兄に小さな頃から世話になり、夫を亡くした後も一番頼りにしていた存在だった。

ちょうど1か月前に入院したばかりだったが、病に逆らうことのないように、自然と苦しむことなく、

穏やかに生きることを終わりにした。

 

私の父を診ていた医師は当時このようなことを言った。

 

  人は生きていたようにしか、死んで行けない

 

確かに、父は最後の最後まで病と闘い力の限り生きて最後を迎えた。

伯父は、その人生と同じく自然体でのんびりと、穏やかに生き、穏やかに死んでいった。

 

 

  柳澤眞三

 

まことに静かな死であった。