「感じるねえ」

息子の前でうちの母親は何を言い出すのかと思っていた。

それをこの季節、何回もその言葉を聞くうちに、　「寒じるねえ」　と言っているのだとわかってほっとした記憶がある。

さて、長野もいよいよ寒じてきた。

この季節、車のエンジンスターター　（リモコンでエンジンをかける装置）　がありがたくなって来ていて、昨日の朝は３分ほど前に家の中から　ピピッ　とスイッチを入れて車に向かったものの、エアコンの送風をデフロスト　（温泉マークのようなやつ）　にしておかなかったおかげで、フロントガラスに霜がバリバリに降りたままであった。

空は雲ひとつない晴天、つまり放射冷却現象で冷え込んでいるのだが、こういう日は例のものがとてもきれいに見えるのだ、と期待して会社に向かった。

　　　それは会社から見える北アルプスの山並み。

真っ白になった険しい山並みが朝の陽を受けてうっすらと赤いような紫色のような色に染まっている。

思わず第２工場の屋上に駆け上がり写真に収めた。

陽が高くなると晴天ではあってもこの山並みは霞んでしまうし、夕方ふたたび陽が傾くと太陽は北アルプスの背中に落ちてしまうので、冷え込んだ朝の一時しかこの風景を見ることができない。

いつ見ても飽きない風景である。