2012.02.24
静かにおくる
一昨年、死の淵から生還した社員がいた。
くも膜下出血 という絶望的な症状から奇跡的に立ち直り、「生還しました」の一言で仕事復帰も見事に果たしてくれた。
が、ほんのわずかなところで脳へのダメージは残っていたのかもしれない。
左目の視野が少しだけ狭い、長時間の運転を医師から止められているなど、
そのせいかどうしても疲れがひどい状態が続いていたのである。
もう20年もまえのこと、
懇意にしていた名物市会議員の先生からの紹介で我が社に入社していただいた。
履歴書には研究職や企画職に就きたいと書いてあった。
そのとうりに、先代社長肝いりの新プラント建設のための開発に没頭したり、営業では未開のエリア開拓などを担当した。
みすず工業が新しい道を進もうとするそのとき、彼はいつもそこにいた。
しかし、家族にとっては生還してくれただけで十分だった。
体に無理を言って働かなくても、そこにいてくれるだけでいいと。
人生プラスマイナスゼロである。
どんな悪いことが起きてもそれは人生の半分。
もう半分はよいことが起きることになっている。
なので、マイナスもあるがプラスもある =0ということだ。
月曜日彼を静かにおくった。