2013.01.31
レクイエム 親子の甲子園
高校野球をやっていて、いや野球好きの誰もが思うであろう。
甲子園に出るということは一生の宝であると。
我が母校、地元の高校が出場してもうれしいだろうが、それが我が子となると格別の思いになる。
彼の息子が甲子園出場を決めた時、彼は周囲の人に支えられなければならないほど、腰が立たないくらいに喜んだという。
どれほどうれしかったことか、、、その場にいなかった私にさえその喜びは伝わって来るほどだ。
実直で活気のあったその人の人柄を語るとき、このエピソードは欠かせない。
私の父が病に倒れたときも、その病気の先輩としていろいろとアドバイスを頂き、勇気づけられもした。
思えばその頃から病気と闘っていたのだ。
息子はその後大学でも野球を続け、神宮球場で背番号10つまり主将として活躍を続けた。
棺にはそのバットが納められていた。
早すぎる旅立ちだったが、きっと満足しているに違いない。
親として、企業人として、一人の人間として精一杯生きた人に時間の永さは関係ない。
静かに眠るその顔を見ながらそんな事を思った。
遠山博隆 享年六十一歳 味の或るひとであった。