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2013.12.2

ZEROへの道程 ー人生の足あとー

本社社屋を去るに当たって

 

今、この部屋(社長室)での最後の筆をとっている。

あまりにも大きい時の流れと失った物と心だ

ここでの十一年六ヶ月、人生の遊戯だったのであろうか。

実のりある人生、社業を全うするには、花や実をとる前に、

自らの心の中に鍬を取って土壌を豊かにすることに尽きる。

これから同じ十年、たとえ果てしなく続く道程であろうとも、

鍬を取る原点を忘れずにいよう。

消える事のない 人生の足あと を残すためにも。

 

十一年六ヶ月の歩んで来た道を自ら消して立ち去らねばならぬ日

それは全て私自身、人間として、社長として、一番大切なけじめである。

自らの生活の安定と企業の安定を考え、大地に足をふまえなかった虚偽の世界を

切り捨てる日としよう。

そして振りかえることなく、この十一年の我が社を立ち去ろう。

 

明日から未来に向かってやるべきこと、やらねばならぬことが山積している。

創業六年で出来た本拠地である。

ましてや、当時の様なマイナスからの出発ではない。

環境、ニチエイ、サン食品を含めて、本体のみすず工業 営業本部の土台がある。

私自身にしても、三十歳のときの挫折を思えばマイナスからの出発ではない。

三年後の全グループの合併、五年後にはゆるぎない生命力をもった企業の完成を達成する。

 

東京へと続くこの地に鍬を入れた野望と希望に輝いた日々

今、この部屋に一つ取り残された時計が刻む音が私を責める。

取り払われた額やデスクのあとに、走馬灯のように刻まれた思い出が駆けめぐる。

真摯な心が全ての行動に欠けて、創意(思いつき)と才覚に溺れた結果であろう。

「東京みすず工業」「アメリカンスタジオ」(英語塾)「小川工場」「ロプノール」

そして多くの犠牲を払いながら未来産業として育ててきた「日本システム技研」

ようやく開花を前にして手放した無念、

多くの社員や心だのみとした幹部との別れ、、、

生きる道を別けたそれぞれの仕事に携わる人々に心中侘びつつ、

一日も早く、新たな人生の夢に向かって行動してほしいと心から願う。

 

今日から十六年前のカネボウ時代に帰り、あつい心をたぎらせて再出発する。

未だ五十二歳 老いる年ではない

 

昭和六十年十月二十六日

林 襄

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林 襄の手記より

 

ZEROへの道程

第一部  了