2015.06.26
瀬戸の花嫁
「瀬戸の花嫁」にまつわる小さな思い出。
現在執筆中の「ZEROへの道程」もメキシコへの旅まで書いたが、次回は
いよいよ南米大陸へと旅が進んで行く。
広大な南米大陸を、飛行機を使わずにバスや電車を乗り継いて、気ままに
旅をした。
したがって、国から国へ、街から街への移動にかなりの時間を費やした。
短くても20時間、長ければバスの中で2泊したこともある。
車窓からは様々なものを見たり感じた。
赤道付近の灼熱の暑さ(エアコンなどない)、標高4,000メートルを越える
乾いた空気、戦後間もないようなバラックの集落、
夜なにか点滅しているなと思ったら、あたり一面のホタルの大群に出会ったり、
車内では食べ物をもらったり、胸ぐらをつかまれたり、、、、
バスや電車での移動そのものが旅であった。
「瀬戸の花嫁」は突然耳に入ってきた。
本家小柳ルミ子が歌っているわけではないが、キチンとした日本語で歌って
いるではないか。
ここは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにむかう夜行バス、しばしの
休憩で立ち寄ったバス停である。
♪瀬戸は 日暮れて ゆうなーみこーなーみー♪
間違いなく、ここにいる全員がわかっていないだろう、だけど僕は知っている。
まさかアルゼンチンで「瀬戸の花嫁」が聴けるとは、、、
とひとり、ほくそ笑んだ。
気ままだけど、どこか心細さもある独り旅のなかで、帰るところがあることを
示されたような、
安心感を抱くことができた、小さな思い出である。