2016.06.15
ブラックジャック
高級プレバブ社屋の社長室の薄い壁一枚隔てた隣は給湯室である。
パリーーーーーンという透明な割れ音が響き渡った瞬間、
あ、割れた、とわかった。
おそらく江戸後期、幕末くらいのものと思われるこだわりの器で五客揃っているので
お客様へのお茶だしにしばしば登場している。
で、こうなった。
こうなったら、とっておきのこだわりを発揮する場面である。
、
日本伝統の金継ぎ。
欠けてしまった陶片をうるしを使って接着し、つなぎ目に金粉を施す。
そうすると、壊れる前とは違う命を吹き込まれた器のようになる。
日本人にしか持ち得ない美意識である。
出来上がった蕎麦猪口を早速越さん(張本人)にみせたら、ブラックジャックのように
なってしまった、、、と嘆いて?いたので、この器の銘を
ブラックジャック
とすることとした。
また何か割れないだろうか、、
この直し、綺麗なのだが綺麗すぎるところが不満足、もっと無骨でよい。