2017.05.11
感想文 騎士団長殺し
私は流行り物に弱い。(流される)
村上春樹 7年ぶりの長編小説待望の発売!ということで読んでみた。
前回の1Q84もそうだったが、騎士団長殺しでも村上ワールドにすっかり迷い込
んでしまった。
特段ハルキストという訳ではないが、(いやマラソンに没頭している時点で若干
その傾向はあるのか)村上春樹の小説の特徴、それはひとことで言ってしまうと
「世界観」になると思う。
僕(今回は私)が割と分かりやすい言葉で、様々な体験を様々な角度で分析して語る
(あるいは頭の中で考える)しつこいくらいの言葉の積み重ねの世界である。
ストーリーや内容は別としてもそういう言葉の世界観は嫌いではない。
もう一つは、不思議感と喪失感。(ふたつか)
小説にはいくつもの伏線みたいなものがあってそれをたどっていくと、迷いながら
も最後にはゴールにたどり着きスッキリするものだ。
が、村上春樹の場合その伏線がいきなり無くなったり(登場人物が消える)する。
そこに現実世界と非現実世界が混ざり合って、よく分からない世界に連れて行かれる
不思議感が重なり、村上ワールドに迷い込んでしまう。
今回も、騎士団長(これがまた変な人?)を案内役にその世界へ連れ込まれてきた。
騎士団長殺し の受け止め方もひとそれぞれだろう。
読み手側の知識、教養、価値観と、村上ワールドが放つ、メッセージがあるような
無いような世界観がどう反応するか、、、というところだ。
むずかしいところまでは分からないが、少なくとも騎士団長の世界で非日常の感覚に
なって帰ってこられたという体験は面白かった。