2019.03.1
ZEROへの道程 ー創立記念式典ー
ZEROへの道程 エピソード5 闘病
父 林襄 が病に倒れてから、社員の前にたったのは二度
その一回目が、1月に全社員参加で行われていた創立記念式典だった。
この式典は父の社長業のなかでもっとも大切にしていた、社員全員に自らの思いを
伝える場であった。
前日まで出席できるか微妙(というか無理)だったが、最後は医師も許可を出さざ
るを得なかったようだ。
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平成13年1月21日(日)
予想と異なり久しぶりに晴れ模様、どうしたのだろう。
朝飯も病院食のみで済ますことができた、まことにスムース体調が良い、
昨夜は熟睡できた。
やはり病と、気は別々なのか、
「勇気」とにかく社員の皆の顔を見ているうちに彼らからのオーラを感じ
くすぶったもの、
汚れて張り付いていたものが、
音を立てて流れていった。
新しい芽が、ふつふつと芽生える音が聞こえるようだ。
そう、第二の人生の音だ、
人生の春を待つ音だ。
心配していた声もなんとか最後まで持った、
創立記念日、これはやはり私の人生の出発点であった。
皆の顔と目が十分応えてくれたのがうれしい。
この会社はきっといい会社になるだろう。
人を信ずる事の喜び、
心と心をぶつけ合う楽しさを知り始めている。
一日でも長く見守りたいものだ。
やんちゃ坊主たちの成長が楽しみ。
みすず工業の夢が見えてきた年であった。
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林 襄 当時の日記 まま
ただならぬ病状ということは社員も知っていたので、「これが最後」と真剣に
聞いてくれたのが父に通じたようだ。
豪腕のイメージしかない林襄だったが、社員がいなければとっくに病気に負け
ていただろう。
社長なんてえらそうなことを言っているが、それを実現する社員がいてくれなけ
れば、ただのお飾りだ。
その大切なことを改めて思い出した。