2017.06.27
グランド
野球のグランドを見たことのない人に説明しようとするなら、
扇型のだだ広い土の原に、少しだけ盛り上がっている場所が一箇所だけある、、
などというつまらない説明になるだろう。
ひとたび選手が散らばると様々なドラマが生まれるこのグランドも、選手がいな
ければただの土の原だ。
がそんな、がらんどうのグランドをしみじみと眺めたことが三度ある。
準決勝敗退、もう二度と高校野球はできないのだなあ、と名残惜しく眺めた長野
県営球場。
子供の頃から真剣に取り組んだ野球との別れ、万感の思いで眺めた、陽が傾いた
両翼100mセンター125mの広大な明大グランド。
そして三度目は梅雨の曇天
練習試合では異例の延長戦に突入して勝ち切って、ベンチ入りできない三年生最後
の夏が終わった。
先ほどまで燃えに燃えたグランドが、今は次なる選手を迎え入れるために静かに
整備されている。
が、次なる選手の中に私の息子はいない。
この、長野の山あいの、のどかな学校のグランドで息子の高校野球は終わった。
しみじみとグランドを眺めた。
野球人生の区切りかな。