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2011.10.27

昭和のバーテンダー

ニュー淀

下調べはしてあったもののさてどうしたものかと入るのを迷った。

 

ニュー淀.jpg

店の名前と看板があまりにも 「期待はずれっぽい昭和」 だったからである。

 

いったんその場所を後にして福井の繁華街を一周してみた。

よさそうなBarがないか自分の嗅覚を頼りに歩きまわってみたのだが、、、新しくモダンで雰囲気のよさそうなBarはあるのだが、私が探しているのはその街に長いこと根をおろしている老舗のBar。

ということで、結局元に戻ってきて、自分の嗅覚を頼りに ニュー淀へとはいっていった。

 

開口一番、「福井の人ではないですよね」

まあ、これは今に始まったことではなく、長野でも二度ほど言われたことがあるので、

よほど、どこの土地にもなじまない雰囲気を醸し出しているのであろう。

 

店は至って普通、置いてある酒も至って普通、どうやら昔からやっているBarにあると予測していたオールドボトルも一切ないようだ。

 

そうなるとオールドボトルを味わう楽しみが無くなり、ちょっと一杯だけ飲んで帰ろうと思ったのであるが、、、

御年71歳、この店を開いてから41年になるバーテンダーさんの話に引き込まれるままにいつの間にか楽しいひと時を過ごすこととなった。

 

この方、遡ること数十年前の第3回全国バーテンダー技能競技大会で準優勝している、日本のバーテンダーの草分けなのであった。

この当時の競技方法は、創作カクテルの独創性などを競うというよりは、バーテンダーとしての接客も競技として行っていたようで、何もしゃべらない審査員の前で3分間接客をする審査もあったとのこと。

(それに比べればどんなに無愛想な男の心を開くことなどたやすいのであろう)

 

また、昭和30年代のブランデーの飲み方を披露していただき、今では見られないバーテンダーの 「技」 を見せてもらうことができた。

 

周りのお客さんを見てみると、、、、

べろんべろんに酔っ払ったサラリーマンが二人、ビールを飲みに来たり、、、

御年78歳のベテランが楽しそうに独りで飲んでいたり、、、(たぶんこの店の30年選手だろう)

 

はたまた、福井県の治安を守るお堅い公務員の青年が、これもベロベロになりながら彼のおじいちゃんが通っていたBarということで、懐かしく思い出して来店して、

おじいちゃんの事をしゃべる度に  「ぐうううつうつうつうっつっつっつ、、、、」と号泣しては、

「すみません!すみません!」 と私と78歳の大先輩に最敬礼と握手をしてまわり

また、  「ぐうううっつっつっつっつ、、」   「すみません!すみません!」  「ぐううっつっつっつ」 「すみません!すみません!」、、、、、、、、、、

最後にはうまいことマスターに連れ出されて帰されてしまった。

 

貴重なボトルが無くたって、独創的なカクテルが無くたって、地元の人がつい立ち寄ってみたくなる。

マスターの人柄と接客という 「技術」 において居心地の良い場所を造り上げているBarであった。

古き良き昭和のバーテンダーにぎりぎり出会うことができた。

(いやいやまだ元気なので当分続けてもらわなければ困るが)

 

しかし、なんで 「ニュー淀」 なのだろうか、、聞くのを忘れてしまった。